土地所有者の父親は90歳で、一人娘とその娘の子供(孫)がいます。このままでは一人娘に莫大な相続税がかかってしまうため、所有地に賃貸マンションを建設する予定です。ただ、マンションの完成迄2年ほどかかってしまい、その間に父親の意思・判断能力が喪失した場合、問題は無いでしょうか。
銀行からの融資がストップする可能性があり、建物引渡し、入居募集ができない!また、建物完成前に父親が他界した場合、相続税の特例を受けることができない!
相続対策(マンション建設)と家族信託においての家族信託の活用
委託者を父親、受託者は長女は60歳を超えており、今後の手続き、管理を鑑み孫にして、受益者は父親とします。そうすれば、マンション建築の請負契約や借入金の申込も受託者である孫が行えます。マンションが完成する2年の間に仮に父親が意思判断能力が喪失したとしても孫の名義で新築マンションの登記ができます。
- 豆知識
- コツコツと贈与することの大切さ
贈与税の取決めの中に、「年間110万円までは贈与税がかからない」という決まりがあります。これを仮に妻、子供2人、孫2人に年間100万円、10年間あげ続けたとしますと、5,000万円が相続時の財産から減り、加えて税金がかかることなく次世代に財産継承できたことになります。
相続対策(マンション建設)と家族信託においての商事信託の活用
前回では家族信託での活用方法をご説明しましたが、大きな不動産や多額の費用がかかる(借入をしてマンションを建てるなど)場合は、商事信託の活用も有効な手段の一つです。先程の家族信託との違いは託す相手(受託者)が先程は家族でしたが、商事信託では信託会社になります。ですので銀行からの借入は信託会社名義で行いますし、募集、契約、賃貸管理等全て信託会社が行います。
- 豆知識
- 信託会社に任せると、本来お客様が行うべき、設計会社、建築会社との協議、金融機関との借入金の交渉、その後の募集、管理業務等全て信託会社にて行うため、家族に負担がかかりません。デメリットとして信託会社への報酬コストが浮かびますが、それ程高額ではなく、逆に信託会社が発注した方が安価になるものもあります。