現在、古い一軒家に一人暮らしをしている85歳の父親がいます。最近足腰が悪くなってきたことから高齢者施設への入居を考えています。今のところ意識ははっきりしていますが、認知症のことも気がかりです。自宅が古いため建替えすることも考えなければなりません。
万が一、認知症になってしまったら
自宅を売却することも、賃貸に出すこともできず、高齢者施設への入居資金の捻出に困ってしまう
成年後見人制度の利用は、医師の鑑定書や裁判所の許可が必要となり時間と手間がかかる
事前に自宅の名義を息子の名義に変える場合は、多額の贈与税がかかる
自宅の管理・売却と高齢者施設への入居における家族信託の活用
自宅を信託財産として(息子に任せるという内容で)父親と息子とで信託契約を結びます。父親の判断能力が低下してきたら息子の判断で自宅を貸したり、売却したりすることが可能となります。尚、信託契約の中で、賃貸はしてもいいけど売却はだめ、という取り決めもできますし、信託監督人をおいて、チェック機能をもたせることもできます。
- 豆知識
- 自宅売却は慎重に!
自宅には「小規模宅地の特例」という、要件をみたせば評価が80%も減額され、相続税が安くなる特例があります。
自宅売却の際には、将来のご相続のことも鑑みて判断する方がよろしいかもしれません
家族信託と法定後見制度との比較
成年後見制度・・・精神上の障害(知的障害、認知症等)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをして、援助してくれる人をつけてもらう制度
※スマートフォンでは下記の表がスライドします
項目 | 家族信託 | 法定後見制度 |
---|---|---|
発生原因 開始時期 | 父親と息子との信託契約による | 裁判所への申立て、許可(3ヶ月程度) |
父親の状態 開始時期 | 元気 | 意思判断能力が認められない |
財産を管理する人 | 家族(自由に決められる) | 裁判所が指定した人(身内、弁護士等) |
※スマートフォンでは下記の表がスライドします
項目 | 家族信託 | 法定後見制度 |
---|---|---|
自由な財産管理処分 | ○ | X |
本人の意思の反映 | ○ | X |
身上監護(介護保険、施設入所手続き) | X | ○ |
訪問販売等取消権 | X | ○ |
それぞれの有利な点を活かした使い分け、兼用を検討することが大切と思われます。